農業法人の
紹介

寺田農園(株)

いつも大変お世話になっております。

鹿児島県農業法人協会事務局の山野です。

今回は、鹿児島市の【寺田農園(株)】をご紹介します。

取締役の三窪浩二さんと社員の有馬義人さんにお話しを伺いました。

九州農林開発グループの関連会社である寺田農園(株)。

三窪さんに取材対応をお願いしたところ、「会社のことを一番詳しく話せる!」と推薦された有馬さんのお二人にお話を伺いました。

寺田農園(株)HP

寺田農園(株)は、平成21年4月に法人化し、現在は役員5名、正社員4名、季節雇用数名で業務に励んでおり、経営規模は、オリーブ約4ha(2500本)、トウガラシ10a(1000本)、ニンニク20a、サトイモ15a、ミカン1haです。全て露地栽培で行っています。

三窪さんは、入社12年目になります。

以前は、建築関係の仕事をされていましたが、会社が倒産しハローワークで探していたところ、寺田農園(株)を見つけました。実家が兼業農家で、面接の時に「草払いできる?」と聞かれ「できます!」と答えたことが採用のきっかけだったのではないか、と三窪さんは教えてくれました。

有馬さんは、入社6年目になります。

以前はアパレル関係の仕事をされており、そこでは自然素材の商品を取り扱っていたので、自然が気になり始めました。会社を辞めてバックパッカーとしてアメリカに行った際にオリーブが印象に残り関心が高まりました。鹿児島に帰ってきてから、ハローワークで仕事を探していたら、たまたま寺田農園(株)の求人を見つけ「鹿児島でオリーブを生産しているところがある!?」と縁を感じて、すぐに面接を受け入社されました。

農業未経験で入社されたので、「昔ながらの一手間かかった作業方法を教えてくださるのがありがたい!」と語ってくれました。

お二人とも異業種からの入社ですが、会社や仕事への愛情を感じました。また、入社されてから本格的に農業について学び始めたとは思えないぐらい、農業生産技術にも詳しく、話していると熱意が伝わってきます。

取材では、農場を3カ所回りました。1カ所目は、サトイモ!

事務所から車で10分弱の距離で谷山インターが近くにあります。

サトイモは赤芽の品種を生産。「赤芽はおいしいからイノシシが大好物なんだよ~」と一言。

2カ所目は、オリーブです!

ジブリ映画に出てきそうな農場ですね( ´艸`),゚.:。+゚

どこまでもオリーブが続いているような、不思議な感覚でした。

オリーブは、南さつま市と共同栽培及び技術連携に関するれんけ時協定書を締結し、13品種の栽培を実証しています。そのうち、寺田農園(株)では現在、8品種を栽培。

病害虫の発生に早く気づくために、幹が見えるように工夫も!

今年は、豪雨が続いたため例年より収穫量は少ないですが、社員の提案によりオリーブの枝木を使った加工品作り等を始めました。

三窪さんから「オリーブの生産を始めた当初は、情報が少ない中、試行錯誤しながらで大変でした」と始まり、有馬さんが「三窪さん!あの話してもいいですか?」と!どんな話なのか伺うと、、、「オリーブの農場は、始める時にかん水施設がなかったので、水を汲むために地下7mまで手で掘り、ポンプを設置しました。その時は5~6名で10日間掘り続け、今でも使用しています。水が出るか出ないか分からない中、掘り続けることは本当に大変だったと思います。掘り続けてくださった三窪さんがいてくれたから、オリーブの生産が今でも続いていると感じています」

ただただ、単純にびっくりしました( ゚ω゚) !!

これだけの広さでオリーブを生産されているので、設備が整った環境で始めたと思い違いをしていました。三窪さんは様々な経験を得た上での笑顔だったんですね!

また、オリーブ農場の一部ではアーモンドも栽培しています。

マカロンの材料としてアーモンドが使われており、お菓子屋さんからの需要が高いので、今後、栽培面積を広げていくか検討中です。

最後は、トウガラシです。

産学官連携で鹿児島大学と共同研究を行っているトウガラシは、9品種栽培した結果、現在はハバネロに絞って生産しています。ハバネロは超激辛種として知名度があるので、鹿児島県産をアピールしてブランド化を検討されています。

鹿児島市内の飲食店の方が、「近々激辛ブームがきそうだ」と考え、鹿児島県産激辛商品を作りたい!と問い合わせがあり、鹿児島大学を通じてハバネロを提供し、「デスデスソース」を開発され、加工原料や食材等としての流通を開拓中です。

農場をまわる時、駐車する場所をどこにしたらいいのか迷うのですが、お二人は早めに合図を出してくださったり、バックの時も指示を出してくださったり等の細かな気遣いがキラリと光っていました。

気遣い溢れる寺田農園(株)さん!三窪さんに会社の一押し情報を伺うと、『社員のチームワーク』と教えてくれました。チームワークを作るために日頃から、社員の健康管理や働きやすい環境作りを心がけていらっしゃいます。

以前は、採用しても作業がきつく辞めていく人も多かったので三窪さんは、「なぜ辞めるのか?自分の指導方法が間違っているのか?」等について考えました。その頃から、会社の雰囲気を良くしようと環境づくりを始めました。

三窪さん自身は仕事に慣れているので作業中にキツいと思っていなくても、周りを見て他の社員が疲れてきているな!と感じたら、「木陰で休憩いれようか~」と声をかけるようにしています。「その時に30分くらい休憩したところで作業効率は落ちないけど、無理して体調を壊し休むと会社としても困るし、休んだ社員が次は休み辛くなってしまうので、声をかけるようにしています。キツいと感じている社員が1人だけ休憩とるのは気まずく感じるようなので、休憩する時は全員でします。最近では、社員からも『休憩しませんか?』と言われることもあるので、社員からも言いやすい環境ができてきているな、と実感します」と教えてくれました。

三窪さんは社員の指導を行っていますが、

①メモを取らない

②動作がゆっくりでやる気があるか分からない

③説明し返事をしてくるが、理解していない

入社したばかりの上記のような社員に対して、1年目は出社してもらい楽しいと思ってもらうように心がけ、危険が伴う仕事のときは理由を添えて強めに指導するが、それ以外には実践しながら学ぶ方針で育てています。

例えば、社員が物産館などへ初めて納品する時は店舗も見て回るようにします。陳列の仕方や同じ品目の値段、品質を見て情報を収集することも勉強になることを伝えています。

2年目に入ると、経営面や出荷の仕方など内容を深めて伝えていきます。そうすると、1年目で説明はしたけれど何となく実践していたことに対して社員から疑問が出てきて、1年目より2年目が質問してくることが増えるようです。

「一人ひとりにあった指導法を考え取り入れたことで、だんだんと意見が出てくるようになるので、社員のためにもなるし、自分自身も指導することについて学ぶことができ、会社としても発展することができます」と笑顔で話してくれました。

三窪さんの指導を受けた有馬さんからも、「社員の意見を取り入れて試させてくれ、チャンスをくれる会社です」と笑顔!

2人の雰囲気が伝わってきますヾ(^v^)k

三窪さんが環境づくりに取り組んだことで、三窪さんとだけでなく社員同士でも農場への移動中に仕事の質問や意見交換が活発に行われるようになりました。

会社の一押し商品は、ニンニクです!

大きいサイズで、販売しているAコープ(桜ヶ丘店、松元店)や物産館(七ツ島)、おいどん市場谷山館で人気です,゚.:。+゚

最後に、三窪さんからは「自分の一存では言えないけれど、オリーブを生産し始めて、課題はあるが利益がでないから止めるのではなく、可能性はまだまだあるので生産を続け、需要に応えながら商品化していきたい!」と、有馬さんからは「寺田農園(株)では、トウガラシやニンニクを生産しているので、オリーブと交えたスパイスの加工品を開発するなど、オリーブの活用法を広げていきたい。消費者の皆さんにオリーブを身近に感じてもらえるようになりたい!」と意気込みをいただきました~ヽ(●´∀`●)ノ

寺田農園(株)さんへの訪問は4年前の1回だけでしたので、会社のことを詳しくお話いただくのは初めてでした。社員のチームワークの良さや三窪さんの環境づくりをとても大切にされている様子や、社員から意見の言いやすい会社の雰囲気が伝わりました。

三窪さん!有馬さん!

長時間の取材へのご協力ありがとうございました。

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