農業法人の
紹介

(株)日野洋蘭園

いつも大変お世話になっております。

鹿児島県農業法人協会事務局の山野です。

今回は、さつま町中津川の【(株)日野洋蘭園】をご紹介します。

取締役の池田宏介さんと、企画部チーフの伏田郁恵さんにお話を伺いました。

お二人は、農業法人ファーマーズマーケットに2018年から運営委員として参加され、池田さんは2019年、伏田さんは今年、副委員長を務めていらっしゃいます。

池田さんと伏田さんは、とても真面目な性格ですが、プライベートなお話で盛り上がることもありコミュニケーションの取り方が上手く、相手に柔らかい印象を与えるので幅広い層とお付き合いができる方々、という印象をもっています。

会議の時は積極的には発言されるタイプではありませんが、ズバッと的確なご意見を言っていただき、協議の問題点を整理してくれます!

普段からお話する機会はありますが、今回、(株)日野洋蘭園について取材させていただき、会社や仕事について深くお聞きすることが今まではなかったので新鮮でした( ´艸`)

魅力溢れる(株)日野洋蘭園さんのことを今回はご紹介します!

(株)日野洋蘭園HP

日野洋蘭園は、創業者が東京都の日野市から移転し、1983年に法人設立。以来、施設が2.9ha、畑が11.6haで胡蝶蘭切花や切葉を営み、日本一の生産量を誇るまでに成長。現在、役員3名、社員18名、常勤パート52名、外国人技能実習生5名で業務に励んでいます。

(株)日野洋蘭園は農業界ではめずらしい!M&Aが行われました。

M&Aというと中小企業が大手に買収されるといった、マイナスのイメージを持つ方もいますが、ここでは、身内に後継者がいなかった創業者が、会社の継続と発展を第一に考え、

2017年にメインバンクの(株)鹿児島銀行へ事業承継を相談したケースです。

同行などが出資しているKFGアグリファンドと(株)春一番が主要株主となり、同社では現在、鹿児島銀行からの出向者が代表取締役を務めています。

(株)鹿児島銀行が経営に関与することで、他業種の情報が入って来るようになり、また、働く環境としては休日が増え、残業が50%縮減されるなど「働き方改革」が進み、入社後3年目での離職率が現在は0%になりました。

4月から代表取締役に就任されている藤﨑和彦さんは、「これまで日野洋蘭園が築いてきたブランドや鹿児島の農業は成長産業であることに魅力を感じ、鹿児島銀行は経営に参画しました。日野洋蘭園生え抜きの社員で、取締役になっている者が二人いますが、経験を積んで、将来は会社を引っ張る人材になってほしい」と、お話しされています。

池田さんは、農学部出身で就職活動として就職サイトで検索した際に(株)日野洋蘭園を見かけ、インターンシップを経て入社され、今年で入社9年目です。

入社して1年半過ぎた頃、当時の社長から「農場の管理を任せる!」と言われたときが個人的に一番苦しかったと話してくれました。

新卒で入社してまだまだ学ぶ立場だったので、人の上に立った経験もない上に、その年は害虫が発生するなど問題が山積み。期待されていることがうれしい反面、あまりの責任の重さに「大変だった~!」と当時を思い出しながら苦笑い。

その時の経験を経て、今でも人に指示を出すことは難しいと感じているそうです。

だからこそ、日頃より後輩の育成に力を入れており、全体の段取りを事前に把握するなどの準備はしっかりしつつ、指示をする時は全てを伝えるのではなくポイントを伝え、指示された側が考える仕組みを作ることを心がけています。

そんな池田さんのお勧め商品は、「ミディバニラ」と「ドール」!

雰囲気が可愛らしく、色合いが好みだと、理由を話しながら照れ笑い( ´艸`)

ハウスを拝見した時に「ドール」を発見ヾ(^v^)k

私としては、胡蝶蘭といえば、白色か濃い色のイメージが強かったので、「ドール」のように薄橙色と薄ピンクを混ぜた色はとても可愛かったです。和風にも洋風にもあう色合いなので、どんな部屋模様にも似合いそう!お勧めです(*^▽^*)

伏田さんは、実家が専業農家で就職先も農業関係で探していたところ、池田さんと同じく就職サイトで(株)日野洋蘭園を見かけ、インターンシップを経て入社され、今年で8年目。

採用結果の通知がなかなか届かなくて「落ちた~と思っていました」と笑顔で当時の事を語ってくれました。

(株)日野洋蘭園は、長く勤めているパートさんが多く、特に技術面でパートさんとの経験の差を埋めることが入社当初は大変でしたが、伏田さんは「社会人として当たり前のことはできるように!」と心構えを持っており、挨拶をしっかりするところから始まり、少しずつパートさんとの関係作りや自分の能力の底上げを行い、今は関係良好です。

今では後輩の育成も担当するポジションになり、今まで以上に人から見られていることを意識することを心がけています。

「作業でも自分が手を抜くと、後輩はそれが当たり前だと覚えてしまうし、時間ギリギリで行動すると真似されるので、見られている意識を持ち、見本となる行動をするようにしています」と話してくれました。

藤崎社長は、「池田さん、伏田さんとも作物を愛してやまない人。当社は彼らのように県外出身者が多く、そんな社員の相談相手にもなってくれている。特に伏田さんは、若い社員とベテランのパートさんとのつなぎ役にもなり、とてもありがたいです。仕事も一生懸命で若い人の手本になっています。ただ、一生懸命すぎるのでオンとオフをしっかり分けてもらえたら完璧!」と、お二人の活躍に目を細めておられます。

(株)日野洋蘭園では、胡蝶蘭は切花生産に特化!

そこには生産へのこだわりが詰まっています。

株を1年間育苗することで、茎や花がしっかり育つため切った後の花も水はけ良いなどで、長く花を愛でることができます!

株も見せてもらいましたがイキイキしています♪

現在40種類の胡蝶蘭を育てています。40種類もあると名前を覚えるのも一苦労!

胡蝶蘭の名前は、納品される時は番号で納められるので自分たちで名前をつけるそうです。説明の後にこっそり、「自分で名前をつけた種類はしっかり覚えてるのにな~」(*・ノェ・)

出荷する際には、一本ずつ包み丁寧に箱詰めします。日野洋蘭園では働く方の多くが、常勤のパートさんをはじめとした女性ですが、みなさん、これらの細かい作業を根気よく行っていらっしゃいます。2015年には、農業の未来をつくる女性活躍経営体100選(WAP100)を受賞!女性が働きやすい環境づくりを整えています,゚.:。+゚

切葉は60種類生産しているため、めずらしい品種も扱っており、それぞれにあわせた独自の栽培方法を考えています。

独自商品として染めのアイビーがあります!

アイビーは元々、白色や緑色ですが、ピンクや青、紅葉(カーマイン)、濃い紫なども生産しています。

(ホームページ掲載写真より)

ハウスを拝見していると、品種毎に管理POPが!

左上のQRコードのことを質問すると「システム会社と一緒に開発した独自システムを利用しています」と。生産と販売でシステムを活用されています。

販売面では、以前のシステムだと、社内の限られたパソコンでしか作業出来ませんでしたが、現在はネット環境があればどこでも繋げられるようになり、使いやすくなりました。

生産面では、胡蝶蘭の株の廃棄や新しい株を取り入れるタイミング等の栽培管理の計画が立てやすくなりました。

効率化や技術向上、人材育成など様々な分野で経営発展を行っている(株)日野洋蘭園ですが、新型コロナウイルス感染症の影響で、一時期は注文が5割以下に!

池田さんが、「手塩をかけて生産した花が売り切れず廃棄することで、社員のやる気が削がれていきました。出荷しても赤字の値段まで落ちたので廃棄することしかできなかったです」と語ってくれました。伏田さんからも「まずは婚礼が無くなったこと、それ以外にもイベントや卒業式、入学式など花を使う機会が極端に減りました。今までも分かってはいましたが、花は生活必需品ではない、ということを実感しました」と語ってくれました。

今は徐々に需要が戻ってきているが、7割程度でまだまだ安心できず焦る気持ちが続いています。社内でも現在、新規事業の立ち上げや生産品目の見直しなど、様々な観点から協議を重ねています。

また日野洋蘭園では、今年3月の地元中学校の卒業式にあわせて、卒業生174名分のミディ胡蝶蘭とスマイラックス、アイビーを使ったコサージュをプレゼント。「少しでも前向きな気持ちになって明るく日々を過ごしていただきたいという、社員からの発案でした」と伏田さん。会社が大変な時期を迎えていたのに、地域に貢献したいという姿勢に感動しました!

最後にお二人から「是非、お花をご自宅に飾ってください」と一言いただきました。

鹿児島市の金生町にある「よかど鹿児島」に店舗を構える「mon(hinoyouran+makarazuya)」さんで、(株)日野洋蘭園の商品を取り扱っています。

興味がある方は、来店し、心癒やされる胡蝶蘭などをご覧ください。

よかど鹿児島HP

池田さん!伏田さん!

取材へのご協力ありがとうございました。

<番外編>

本ホームページでも、取材に御協力いただいた伏田さんが副委員長を務める、「第10回 農業法人ファーマーズマーケット2020」の開催中止をお知らせいたしましたが、先日開催された当協会理事会において、内閣官房が発表した「11月末までの催物の開催制限等について」や業種別ガイドラインを遵守することを前提に、いつもの農業法人ファーマーズマーケットとは異なる形式で、イベントを開催することが承認されました。

まだまだ動き出したばかりで詳細は決まっておりませんが、楽しみにしていただいている方には引き続き、お待ちいただければ嬉しいです,゚.:。+゚

今年は、開催10周年を迎える記念回のため、皆様にイベントのことを知っていただくきっかけとして、イベントロゴを作成しました。

是非、こちらのロゴを見かけた際は「農業法人ファーマーズマーケットだ!」と覚えていただきたいです。

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