(有)高松ポートリー
いつも大変お世話になっております。
鹿児島県農業法人協会事務局の山野です。
今回は、出水市高尾野町の【(有)高松ポートリー】をご紹介します。
令和2年4月に新設したばかりの鶏舎へ行ってきました。
今回は、代表取締役の高松 信吾さんと専務の高松 孝太さんからの取材を予定していましたが、偶然、会長の高松 重信さんにも会え、お三方からお話を聞くことができました!
お忙しいところ、ご対応いただきありがとうございます(*^▽^*)
(有)高松ポートリーは現在、役員3名、社員2名、パート2名で業務に励んでおり、経営規模は、採卵鶏12万羽、施設でパプリカ16aです。
重信さんのお父様が養鶏を始め、その経営をお兄様が継いでいたところに、重信さんが帰郷しお兄様と協力して、昭和51年に農事組合法人を立ち上げました。その後、独立し、鶏舎を新設するタイミングの平成8年1月に現在の(有)高松ポートリーにされました。
重信さんは、「百姓ではなく、会社として成り立つ農業をすることが夢だった」と語ってくれました。
現在、(有)高松ポートリーの主軸である採卵鶏は、信吾さんに譲り、パプリカを担当されています。
会社の中心となるのが、信吾さんです。
信吾さんが入社したのは、24歳の時。2年後の平成14年には、マルイ農協の組合員になったことや所帯を持ったことから、会社や仕事への意識が変わり、後継者として自覚する機会が増えました。
マルイ農協では、平成28年~平成30年に監事、令和元年からは理事を務めています。
自社だけでなく、マルイ農協でも中心メンバーとして、出水を代表する経営者の1人です( ´艸`)
【一言メモ】
マルイ農協とは?
地元の養鶏農家が組合員となり、養鶏組合を母体として、ひなの生産や飼料製造、鶏卵、鶏肉、加工食品の製造・販売、消費地までの運送、有機肥料の製造・販売と養鶏に関する全ての分野を手がける組織です。
※詳しくは、ホームページをご覧ください。
農林水産省の畜産クラスター事業を活用し、新設された鶏舎を建て規模拡大することが決まり、「1人では対応できなくなる」と思い、リスク分散のことや事業承継を考え、弟の孝太さんに声をかけました。
(有)高松ポートリーの縁の下の力持ち役が、孝太さんです。
孝太さんは、大学を卒業後、産業機械製造メーカーに就職されました。11年間働いている中で、「地元には、いつか帰りたい。農業をビジネスとして成功させたい!」と考えていた時に、信吾さんから声をかけられ、孝太さんのご家族の後押しもあり、(有)高松ポートリーに令和2年2月に入社されました。
11年間のサラリーマン経験により、何に対しても「改善できることがある!」という精神が根付いており、「めんどくさい」、「危ない」と思うところは必ず改善でき、それが経営の改善に繋がると考え、日々、取り組んでいます。
孝太さんは、重信さんが担当するパプリカ、信吾さんが担当する養鶏のどちらもサポート。一見関係ないような養鶏とパプリカの生産を関連づけ、資源を循環できるシステムを作ることを見据えて、今は2部門の業務に携わっています。
例えば、パプリカのハウスでは、冬でも温度が20度以下にならないように暖房が必要です。この暖房に鶏糞を燃やす熱を利用できないか?等、社内で検討を重ねています。
今回、訪問した新設の鶏舎にもこだわりが詰まっています。
一番の違いは、「ウインドレス」です!その名前の通り、窓がない鶏舎です(*゚∀゚)
具体的には、窓はないけれど、換気をするための大きなファンがあり、外気の入口部分には、夏場に空気を冷やすためのクーリングパッドという大きな壁があります。
ウインドレス鶏舎のメリットは
①温度管理が徹底して行える
②日照管理も容易に行える
③外から動物が入らない
④卵の管理が徹底できる
⑤鶏舎内も鶏舎外も悪臭がでにくい
基本的にはコンピューターが全てを管理しています。
夏場に外気温が一定の温度を超えると、クーリングパッドに水のカーテンが自動で流れ、鶏舎内は大きなファンを24個つけているので、気化熱を利用して外気温より内気温を約マイナス5度下げることができます。
次は、卵の流れをご紹介!
鶏舎から卵が工場内に流れてきます。もちろん自動,゚.:。+゚
鶏舎からバーコンベアで卵が流れてきます。
汚れている卵は機械で洗浄しながら、「汚れていないか?」、「割れていないか?」などの仕分けを行います。
仕分けられた正常卵は、トレーに入れるためのパッカーという機械に流れていきます。
トレーに入れる前に、仕分けの抜けが無いか、再度チェックを行います。
決まった高さまでトレーを重ねたら、運びやすいように温度管理ができる保管庫へ移動します。
移動した卵は、マルイ農協へ納品され、工場で洗浄・検卵・選別・包装を行い、出荷されます。
新型コロナウイルス感染症の影響は無いと言えませんが、飲食店より一般消費者向けの展開をしていたため、大きな影響は受けませんでした。
そんな、(有)高松ポートリーでも、台風によるダメージを受ける年もありました。
鶏舎を建てて2年後に、台風による被害で屋根が飛んでいきました。一箇所ではなく、80mほどの長さが一気に無くなったため、その鶏舎は機能しなくなりました。その頃は信吾さんも孝太さんも学生で働いていませんでしたが、今でも記憶に残るほど大きな出来事でした。
取材中も、信吾さんと孝太さんが打ち合わせをする姿を何度も見かけます。
お互いを信頼している様子が素敵です( ´艸`)
孝太さんは今年から農業法人ファーマーズマーケットの運営委員として参加されています。委員の中では年長組で、自身のサラリーマン経験を経た知識をもとに、必要に応じてアドバイスや質問、意見をされますが、会社の中では柔らかい表情を見かけ、信吾さんを頼っている姿が新鮮に感じました,゚.:。+゚
マルイ農協の卵は香港のドンキホーテにも輸出しています。
「卵の輸出って!?」とびっくりしたので、詳しくお話を聞くと、海外では生卵を食べる習慣がないので、輸出しても賞味期限としては問題ないようです(*゚Д゚)
「一昨年ぐらいから需給バランスが崩れてきて、相場の振れ幅やサイクルが昔と変わってきている。以前はインバウンドに支えられていた部分もあり、今年は一段と相場が厳しい」と信吾さんは感じられており、理事を務めているマルイ農協では、輸出を広げていくことを視野に入れています。
一方で、パプリカの生産についてご紹介します。
生産のきっかけは、養鶏部門でも取引のある会社から依頼がありました。しかし、パプリカについて調べていくと、日本で販売されているうち、国産は1割弱であり、残りは韓国が7割、ニュージーランドが1割ということが分かり、ビジネスチャンスを見いだし、生産することになりました。
試行錯誤しながら進めていらっしゃいますが、重信さんは「パプリカの生産は難しいけれど、素敵な指導者と巡り会えたので、今後も取り組んでいきたい」とイキイキとして表情で語ってくれました。
最後に一言ずついただきました。
重信さんからは、農業の魅力について「農業は難しいが、確立できればやっていける!売り先があれば、後は自分の努力次第ですね」と。
信吾さんからは、今後の意気込みなどについて「主力の養鶏はきっちりと。パプリカを是非、成功させて両立していきたい。新たな動きとして、アニマルウエルフェア問題があがっているので注視していきたい」と。
孝太さんからは、目標について「養鶏を主軸に、持続可能な循環型農場の構築を目指して頑張っていきたい」と。
3名がそれぞれの役割を担い、協力している様子を取材の中で感じました。
重信さん!信吾さん!孝太さん!
取材へのご協力ありがとうございました。