農業法人の
紹介

(農)南州農場 代表理事 本田信一氏

前回の今月の法人紹介から、更新が遅れてしまい申し訳ありません。

今回は、前回号で紹介した(農)南州農場 第2号として、本田信一理事長を紹介いたします。

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(農)南州農場 本田信一 代表理事

先月号でも掲載しましたが、本田様は、平成9年2月18日に鹿児島県農業法人協会を立ち上げ、当協会初代会長として平成18年度まで9年間務めてくださいました。

当協会を立ち上げた時から現在も「農業法人で鹿児島の農業関係の売上高1割を目指そう!」という思いは変わっておりません。
立ち上げた当時、会員数を増やし、当協会の規模拡大に図ろうという思いでいっぱいだった様です。(それは、もちろん現在も受け継がれております。)

本田様は、富山県農家の次男として誕生。
海外航路の航海士を約7年間務め、その後、縁あって、昭和50年鹿児島県に家族5人で来鹿されました。

鹿児島県に来た頃は、地元の方々の方言を使った会話を聞きとるのに一生懸命だったそうです。また、「家族も見知らぬ土地での生活は不安だったようだ。苦労をかけた。」と当時を振り返られます。しかし、過疎化が進む地域に転入し、集落の会合で慣れない焼酎に悪戦苦闘しながらも、必死に地元にとけ込もうとする本田様の姿勢を、地域の方々や行政は好意的に受入れ、皆さんのたくさんの協力・支援をいただきました。


それに応えるのが自分の責任だと思い、南州農場を設立し、頑張っていらっしゃいます。

(農)南州農場は、農家4名と一緒になって設立されました。

農事組合法人にした理由は3つあり、

1.制度資金を借りやすいこと

2.税法上、優遇されていること

3.農業をやっていること

をきちんとアピールしたかったからです。

「ただ、株式会社と比べ、意思決定が迅速にいかない時もある、これから法人にされる方は、関係者の助言も得ながらしっかり検討して決めて欲しい。」と、本田様は話されます。

本田様が、来られた頃の佐多町は驚く程何もありませんでした。

道路作り、電気、水道など生活するにあたって必要不可決なものを、ご自分で築きました。また、当時は集落に電話をひかれてなく、約3キロ離れた公衆電話まで行かないと、資材を発注出来ない状況だったので、今のNTTに出向き、「電話を引いてください。」とお願いしました。制度が厳しい中でしたが、当時の課長さんに柔軟に対応していただき、無事、電話も繋がることができました。
様々な困難を乗り越え、本田様は「細かい苦労話も、今振り返れば楽しい思い出となっているよ。」とおっしゃいます。

「養豚をやろう」と決め、大規模経営を目標として鹿児島にきたものの、知識は皆無だったため、農協の営農指導員や県の農業改良普及所へ相談にいき一生懸命、経営計画書を作成されました。

最初にたてた計画書では、「養豚はこんなに儲かるんだ!」とおもしろい位利益が出る計算になりました。しかし、当時、世の中の養豚農家では、儲かっている人が3分の1、まあまあな人が3分の1、大変な借金を背負っている人が3分の1という状況だった様です。売上げやコスト計算をシビアに見積もって1年かけて作り上げた計画書をもとに、順調に経営を伸ばしてこられました。

その1つとして、利益は設備投資にかけ、豚舎を増やし、その結果が現在の農場の広さ、豚の頭数に結び付いています。
1982年、豚肉の需要ダブつきに悩み、付加価値をつけて販売する必要性を痛感し豚肉加工場を開始。


当時、「加工などは、大体農協さんがやることで、一農家がやるべき仕事ではない」と、何度も何度も断られました。しかし、本田様は加工部門も畜産農家の1つの発展した姿だと思っていたので、農林漁業金融公庫(現在の日本政策金融公庫)の支援も受け、やっと実現できました。

事業開始後、既に大手メーカーが強く、激戦状況でした。そこで、大手メーカーが心がけていなかった「手作り・無添加」をセールスポイントに、ハム・ソーセージなど独自の製法で取り組まれました。なお、販路も自力で開拓し、生協や地元精肉店などと取引を開始。現在は県内外の直売店、ネット販売など拡大されています。

現在の南州農場は、養豚事業、養牛(肉用牛)事業、食肉カット、食品製造加工、堆肥製造といった5つの部門で運営されています。

本田理事長は、「これまで生産、食肉処理、加工、販売と一貫体制を追求してきた理由は、相場や中間マージンに左右されない経営を目指したから。また、消費者に受け入れられるために、安全性の重視はもとより、生産コストだけではなく、流通・販売を含めた総合的なコストの低減を図り、付加価値を高めていくことを実現したかったから。」と話されます。

当初、雇用にも苦労された様ですが、経営が軌道に乗ると給与水準も高くなり、社会保険制等を整備すると人も自然に集まるようになり、現在は旧佐多町の住民の多くが勤務され、毎日責任を持って豚の生産に関わっています。なお、有能な人材は責任者にして経営面まで任せていらっしゃいます。

南州農場は、今後も努力し続け、規模拡大に取り組んでいくとともに、工業的な手法、発想を重視する一方、生命に対する慈しみの心を忘れず、レベルの高い生産技術を目指していきます。

今回、本田様との対談を行うにあたり、肥後副会長にも同席していただき、最近の当協会の様子や目標、会員さんの現状をお話しすると、「最近、会合にはなかなか参加できていないが、とても有意義な活動を送っている様だし、たくさんの方がご活躍されていて良かった~」と安心していらっしゃいました。


肥後副会長にも同席していただいた対談の様子

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『「農業関係でこんな組織があって、こんなことができるよ!」と、もっと協会のことをPRしてほしい。また、早く、広く県民の方々の認知を受けるよう、鹿児島県農業法人協会はもっと盛り上がっていってほしい。』と初代会長からのメッセージでした。

その一環として、11月26・27日に開催する農業法人ファーマーズマーケット2011については、「是非成功して頂きたい!」と応援をいただきました。
農業法人ファーマーズマーケット2011は、当協会主催として初めて行うイベントで、お客様と生産者の顔が見える販売を行い、鹿児島の農業の大切さ、楽しさ、元気さをアピールします。


たくさんの方に来場していただき、おいしい、安心・安全な農畜産物が鹿児島にはたくさんあることを伝えたいです!!
11月26日(土)と27日(日)は、ウォーターフロントパーク(ドルフィンポート前広場)へ!!

話が脱線いたしましたが・・・
本田様については、従業員の皆さまも会員さんも事務局も認める偉大かつ、紳士的な方。外見だけでなく考え方もかっこいいなど、様々な方から伺っていました。特に、坂口係長は「あの方は、鹿児島の農業法人経営者の鏡、特に、厳粛な気持ちで取材するように。」と言われ、緊張して取材に臨みました。実際にお会いした本田様は、私のつたない質問にも、やさしく丁寧に答えてくださるとてもお話し上手で、ユニークで笑顔が素敵な方でした。


~貴重なお時間を作っていただき、ありがとうございました~

最近の若者へのメッセージは、
「今後、世の中で役立つ人材となり、必要とされる一員となれるように頑張ろうと胸にとめ頑張ってもらいたい。そして、社会、家族、国に必要とされる人間になってもらいたい。日本人に生まれて良かったと気持ちを持って、まずは鹿児島県の農業を元気にしていこう!」と熱い思いを頂きました。

ローマ時代から、「若者はおかしい」といったようなことが落書きしてあったようです。


今でも、よく「最近の若者は~」と言われますが、年寄りには年寄りしか分からないものがあるように、若者には若者しかわからないことがあるのだ。」と、偏らない考え方ができる方だと思いました。しかし、「時代と同時に変わっていくが、変わらないものもある。」と”古き良きもの”のお話も伺いました。

本田様、南州農場の方々、ありがとうございました。

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