農業法人の
紹介

(有)ファームランド豊

今回ご紹介する農業法人は、指宿市山川で野菜延べ12.3haを経営する、農業生産法人(有)ファームランド豊 です。

椅子部好きの開聞岳

ファームランド豊は、松下豊和さん(58)、芳子さん(64)夫妻と、息子・寛和さん(32)の3人の役員のほか、常時雇用の従業員4人で、サツマイモやスナップエンドウ、ソラマメ、オクラ、エダマメ、ジャガイモ、カボチャ、タマネギなど多品種の野菜を生産。契約栽培主体で、全国各地へ出荷しています。取材にお邪魔した際は、オクラの収穫真っ最中。寛和さんに3m丈の茅が生い茂った耕作放棄地を、自力で再生したオクラ畑を案内いただきました。

松下 寛和さん

炎天下の中、見事なオクラが育っています。

ただ、今年は梅雨明け後、日照り続きで散水作業が通常の年の3倍と大変なようです。

倉庫も案内いただきました。

オクラの袋詰めの作業の様子

美味しそうなオクラ

今回のオクラは東京へ出荷されるそうです。

ファームランド豊の設立は平成7年。まだ法人化が推進され始めたばかりで、県内にも農業生産法人が160法人しかない頃(現在は662法人)です。豊和さんは30歳で脱サラ就農しましたが、平成4年、東京の三菱商事に売り込みにいき、甘露飴やサツマイモチップスなどで契約することとなった際、先方に「個人とは商売しない」と言われたのが法人化のきっかけだそうです。


ちなみに、豊和さんの前職は”段ボール屋”。ご本人曰く「針などを使わない方式の県内第1号」とのことで、アイデアマンとしての才能は早くから発揮されていたようです。今でも、サツマイモは、通常マルチ・土壌消毒・除草剤の3点セットなしでは作れないと思われているところを、8割はそれなしで作るなど独自の工夫をなされています。

マルチなしのサツマイモ圃場です。

5年前には27歳で寛和さんが就農。就農前は音楽に打ち込んだほか、IT企業などに勤めていらっしゃいました。IT企業は物流システム関係だったそうで、ここでの経験が、産業連携への意識を促し、現在の農業経営にも役立っているようです。

父・豊和さん(写真右)に、女性農業委員も務める、妻・芳子さん(同左)、それに息子の寛和さん(同中央)が加わり経営にあたられていますが、豊和さんの”勘”を、寛和さんが”数字”で裏付けるなど上手く役割分担されているようです。普段の夕食など家族団らんの場でも、経営について話すことは多いそうで、そうした風通しの良さも経営内の意思疎通につながっているようです。

 ファームランド豊では、売り手よし、買い手よし、世間よしの「三方よし」の実現を目指されているとのことです。この言葉は近江商人の心得として知られていますが、ファームランド豊では、大量生産・大量消費時代から、旬の味、旬の栄養、豊富な種類の野菜を求める買い手ニーズの変化に対応し、これらを備えた無農薬・減農薬の安全な野菜をプライドを持って生産されています。それは県内でもいち早くJ-GAPを取得されたことにも表れています。

 また「世間よし」の考えには、自社のみならず、農業界全体を伸びしろのある成長産業に発展させたいという想いもあるそうで、就農相談会などへも積極的に参加し、「農業のリアル」をアドバイスするほか、自社での従業員採用においても、将来、独立就農を目指す方も受け入れるなど「新規就農支援」にも力を入れていらっしゃいます。

 就業人口の減少や高齢化、国際化の進展など、農業をとりまく情勢は厳しさを増していますが、「こんなときだからこそ、足を引っ張り合いではなく、農村全体の問題として考えるべき(寛和さん)」「色んなチャンスはある。ただ、それをチャンスと見るか、見ないかの違い(豊和さん)」と危機突破のヒントを話してくれた松下さん親子。



 また、寛和さんは自身が運営委員長を務める、11月9日、10日に鹿児島市のドルフィンポート前広場で開く「第3回農業法人ファーマーズマーケット」について、「今は法人協会手作りのイベントですが、将来的には県イベントにまで成長できるよう頑張りたい」と抱負を語っていただきました。

農業法人ファーマーズマーケット2013 運営委員長 松下 寛和氏

お忙しい中取材に応じていただき、ありがとうございました。これからも、「三方よし」の経営で、地域農業をリードしていかれることを心より祈念いたします。

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