農業法人の
紹介

(有)大崎農園

だいぶお久しぶりの更新となってしまった「今月の農業法人」です。

今回は、大崎町の元気な経営者を取材させていただきました。東海大学・海洋学部卒業の同級生3名が、脱サラし、鹿児島で農業に取り組むお話しです。現在は、主力のネギはハウス70棟(2.3ha)を3.5回転させ周年栽培、ダイコン53ha、キャベツ2haを露地栽培していらっしゃいます。

大崎農産のハウス(一部)

大崎農園の資材置き場の様子

同社を動かしていらっしゃる山下義仁代表取締役、中山清隆専務取締役、佐藤和彦取締役農場長は、大学の同級生。当日は、奇跡的に3名にお会いできました!共通の趣味であるサーフィンを通じ、意気投合された3名は、「一緒に仕事をしたい」「自分たちで物事も起こしたい」「何か挑戦したい」と脱サラされ、1997年大崎町で就農されました。

【大崎農園の役員3名】

左から、中山専務取締役、山下代表取締役、佐藤取締役です。

実は、当時を振り返ると、必ず農業でなければならなかったわけではなく、当初は誰でもできるだろうと思い、農業を選択されたそうです。
しかも、これを機に中山専務取締役と佐藤取締役は、関東から鹿児島へいらっしゃいました。その当時、サーフィンができるからという軽い気持ちでいらっしゃったようですが、現在は田舎生活にも慣れ、毎日充実していらっしゃるようです。

実際に、農業をスタートされるにあたり、既に軌道に乗って経営を行っている農業法人からのアドバイスも受け、周年をとおして安定的な収入と雇用ができる栽培であること、また消費者から日常の生活で必要とされる安定した品目であること、農業が初めてでも取り組みやすく、収入まで長期を必要としない栽培期間が短い品目であることに目をつけ、「ねぎ」の生産を開始されました。

周年栽培のねぎ

最初の約半年間は契約農家として取り組まれましたが、平成10年、地元スーパーの「野菜買います」の広告を見て、直接出向き、初めての商談をされました。担当のバイヤーさんの対応もよく、県内全店舗に紹介いただき、このお付き合いは今でも続いているようで、今の同社の販路先開拓に向けた取り組みの1つとなっているようです。

現在の販路先は、全体では県内3~4割、九州をはじめ山口県、岡山県、岐阜県、関東地域など6~7割を占め、同社のネギは「浜っこネギ」いう商品で皆さまの食卓に、ダイコンは鹿児島や沖縄、関西の量販店や市場に青果物として、キャベツは6次産業化総合化事業計画を受け、国内リレー出荷に参画されています。

法人化され、現在の姿になるまで同社が大きく発展されている秘訣として、1社に固執した取引をせず、1社あたり10%前後を超えない取引を心がけること、家族経営の延長線での農業法人ではなく、他人である3名が集まり、様々な知識を出し合うことができた環境、3名の役員を含め、従業員のチームワークと役割分担ができていることが挙げられると思います。

山下社長は、「特別なこと、新しいことは何もしていない。人が取り組まないようなこと、面倒くさいと感じることを率先して取り組んできたのが現在に至っている。契約を安定させるために、少しずつ規模拡大を行ってきた」とおっしゃいます。同社は、平成15年頃にK-GAPを、平成26年2月にはG-GAPを取り入れ、会社の取り組みを向上させることで、お客様に還元できるように心がけていらっしゃいます。

G-GAP認証

品質や数量、安定感、クレーム、歩留まりなどお客様のことをしっかりと勉強し、求められているものを作ることで、現在の根強い取引が築けているのだと感じました。同社の1番自慢できるものは「スタッフすなわち人材だ」と役員3名口をあわせておっしゃいます。
現在、先ほどご紹介した役員3名の他、正社員22名、パート2名、外国人技能実習生6名、内職50名がいらっしゃいます。

更なる改善に向けての現場打合せの様子

今後も雇用は増やしていきたい考えを持たれており、「農業をやってみたい!作業に対し、一生懸命でやる気のある方、県内外問わず、男女問わず募集します!」とのことでした。同社には、学校を卒業したばかりの若い方や、農業外からの就職など働かれている方は様々です。農業を知らない方々に「勘」「感覚」「経験」が必要な農作業を指導し、伝えていくことはなかなか簡単なことではありません。

同社では、自分たちの農業を伝え、情報を共有するために、農業経営の「見える化」に取り組んでおられます。衛生管理や応急処置の教育、農作業マニュアルや生産工程管理・作業時間管理などを作成し、社員教育にも力をいれ、生産性の向上に努めていらっしゃいます。

作業用具の管理

作業中の注意事項

現在、トップダウン式のスケジュールを作成し、他の従業員に指示を出すように取り組んでいらっしゃいますが、1人1人の従業員レベルアップを目指すのであれば管理者+責任者+作業員として分業していくべきか現在検討中とのことでした。

何時にどこで誰が何の作業をしているのか、雨の日の作業は何をするのか、スケジュールはしっかりと準備されています。
また、従業員1人1人の苦手とする作業、得意とする作業を聞き、皆さんが作業をしやすい環境も整備されています。


一方、従業員の方々は、仕事終了後の話の中で、今日の反省点や明日の作業のアドバイスをしてもらうことで助かっていたり、目に見えない余裕があると感じていたり、厳しさの中の優しさがあるから頑張れると、山下社長についていきたいという方ばかりでした。

事務所内の様子

今後に向けて、新たなマーケットも視野に入れていらっしゃいました。平成24年頃から、国内商社の依頼を受け、中山専務取締役は、農作業の指導員としてマレーシアに年間作業計画から作業方法などを教えに行かれていました。

カボチャやオクラ、中国野菜などの生産をしつつ、アジアで販売されている価格や、持たれているイメージなども勉強できる機会になられたようで、日本人の信頼されているイメージを大事にし、「安心・安全かつ品質の良い野菜」を届けられるよう、流通単価を勉強し、アメリカの農業に勝てるシステムを作りたいとおっしゃいます。

元気な3名。ありがとうございました

これからも、更なる発展に向けて、取り組まれる大崎農園を応援しています!
大崎農園の原点「ものづくり」はもちろん、会社づくり、人づくりにも一生懸命な3名からのお話しは農業パワーを感じるものでした。
お忙しい中にもかかわらず、あたたかく迎えてくださり、ありがとうございました!!

さて、農業世界では当たり前に言われている「農業法人」。業種が違うと、一般の方々には「農業法人ってなに?農家さんとどう違うの?」とよく言われます。次回は、農業法人について取り上げたいと思います。

(有)大崎農園についてもっと知りたい方はこちら

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